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高血圧患者のED治療薬の選び方|降圧薬との飲み合わせを薬剤師が解説

高血圧患者のED治療薬の選び方|降圧薬との飲み合わせを薬剤師が解説

「降圧薬を飲んでいるけど、ED治療薬を使っても大丈夫?」

降圧薬を飲んでいる人の多くは、そもそもED治療薬との飲み合わせを確認する機会がない。結果として「降圧薬があるから無理かもしれない」と思い込んで、受診を諦めているケースが少なくない。高血圧とEDは高い頻度で合併することがよく知られており、「高血圧があるからEDになりやすい」「EDがある人には高血圧が多い」という関係は広く報告されている。

答えは「条件次第でYES」だ。しかし「どの降圧薬を飲んでいるか」によって状況が大きく変わる。降圧薬の種類ごとに正確な情報を整理する。


高血圧がEDを引き起こす理由

高血圧そのものがEDの原因になりうる。メカニズムは2つある。

① 動脈硬化による血流低下

高血圧が続くと血管壁がダメージを受け、動脈硬化が進行する。陰茎の血管は細いため、動脈硬化の影響が早く出やすい部位のひとつだ。血流が低下すると勃起が起きにくくなる典型的な器質性EDのパターンだ。

② 降圧薬による薬剤性ED

高血圧の治療に使う降圧薬の中には、副作用としてED・性欲低下を起こすものがある。高血圧が原因でEDになっているのか、降圧薬の副作用でEDになっているのか、あるいは両方が重なっているのか、正確に判断するには医師・薬剤師への相談が必要だ。

高血圧の男性がEDを感じたとき、まず確認すべきは「いつ頃から降圧薬を飲み始めたか」だ。ED発症と降圧薬開始のタイミングが重なっていれば、薬剤性EDの可能性がある。

ED治療薬が使えない基準・禁忌

血圧がコントロールされていれば高血圧があってもED治療薬は使用できる。ただし以下の場合は使用不可だ:

血圧による使用不可基準
  • 収縮期血圧(上の血圧)170mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)100mmHg以上:原則使用は推奨されず、まず血圧コントロールを優先する
  • 収縮期血圧90mmHg未満(低血圧でも使用不可)
血圧に関わらず絶対禁忌(併用禁忌薬)
  • 硝酸薬(ニトログリセリン・硝酸イソソルビド・ニコランジルなど)を使用中
  • リオシグアト(アデムパス)を使用中

血圧が170/100以上の場合は、まず降圧薬で血圧をコントロールしてからED治療薬を検討する順序が必要だ。


降圧薬の種類別:ED治療薬との飲み合わせ

ここが最も重要なセクションだ。降圧薬の種類によって飲み合わせのリスクと影響が大きく異なる。

Ca拮抗薬(カルシウム拮抗薬)

代表例:アムロジピン(ノルバスク)・ニフェジピン(アダラート)

ED治療薬との飲み合わせで大きな問題が出ることは少ない。血圧低下の相互作用はあるが、他の降圧薬と比較して影響は限定的だ。ED自体への悪影響もほとんど報告されていない。高血圧患者に最もよく使われる降圧薬のひとつであり、ED治療薬との併用を考える上で最も扱いやすい部類だ。

ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)

代表例:ロサルタン(ニューロタン)・テルミサルタン(ミカルディス)・バルサルタン(ディオバン)

ED治療薬との飲み合わせで問題が出ることは少なく、EDへの影響も低い。注目すべきは、一部の研究でARBが性機能への悪影響が少なく、改善傾向を示した報告もあることだ。高血圧とEDを両方抱える場合、ARBを降圧薬として選択することを担当医に相談する価値がある。

ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

代表例:エナラプリル(レニベース)・リシノプリル(ゼストリル)

ARBと同様、性機能への悪影響はほとんど報告されていない。ED治療薬との組み合わせで特別なリスクはない。空咳が副作用として出やすいため、日本ではARBに変更されるケースも多い。

β遮断薬

代表例:アテノロール(テノーミン)・メトプロロール(ロプレソール)・カルベジロール(アーチスト)

一部のβ遮断薬でED・性欲低下が報告されている。ただし実際の頻度については研究によって差があり、過大評価されている面もある。ED治療薬との急激な血圧低下は起きにくいが、β遮断薬服用中にEDが出た場合は薬との関連を医師に相談する価値がある。ただしカルベジロール(アーチスト)のように、β遮断薬の中でも比較的性機能への影響が少ないとされるものもある。ED治療薬との急激な血圧低下は起きにくいが、他の降圧薬との併用や全身状態によっては低血圧症状に注意が必要な場合もある。

β遮断薬を飲み始めてからEDが出た場合、降圧薬の見直し(ARBやCa拮抗薬への変更)を担当医に相談することが解決への近道になることがある。自己判断で中断しないこと。

利尿薬

代表例:スピロノラクトン(アルダクトン)・ヒドロクロロチアジド・フロセミド(ラシックス)

利尿薬の中でも特に注意が必要なのがスピロノラクトンだ。スピロノラクトンは抗アンドロゲン作用(男性ホルモンを抑える作用)を持ち、ED・性欲低下・女性化乳房が起きることがある。サイアザイド系利尿薬も同様にEDリスクが報告されているが、スピロノラクトンのほうがより影響が大きい傾向がある。

ED治療薬との相互作用自体は限定的だが、利尿薬の副作用でEDが起きている場合はED治療薬だけで解決しにくい。

α遮断薬

代表例:ドキサゾシン(カルデナリン)・プラゾシン

α遮断薬とED治療薬の組み合わせは血圧が過度に下がるリスクがある。症候性低血圧(立ちくらみ・失神)を起こす可能性があり、以下の手順が推奨される:

  1. α遮断薬で患者の状態が安定してから開始する
  2. ED治療薬は低用量から開始する
  3. 服用後の血圧変化に注意する

前立腺肥大症の治療薬(タムスロシン・シロドシンなどのα遮断薬)と高血圧用のα遮断薬(ドキサゾシン・プラゾシン)は同じクラスの薬だ。「夜間頻尿が気になって泌尿器科でもらった薬」がα遮断薬であるケースも多い。


降圧薬別まとめ表

まず全体像をざっくり把握しておこう。

降圧薬とED治療薬:ひと目でわかる分類
  • 比較的使いやすい → ARB・Ca拮抗薬・ACE阻害薬
  • ED自体の原因になる可能性あり → β遮断薬・スピロノラクトン(頻度は議論あり)
  • 低血圧に特に注意 → α遮断薬
  • 絶対禁忌 → 硝酸薬・リオシグアト
降圧薬の種類ED治療薬との相互作用性機能への影響ED治療への影響
Ca拮抗薬軽度の血圧低下影響少ない
ARB軽度の血圧低下影響少ない・一部で改善傾向の報告あり
ACE阻害薬軽度の血圧低下影響少ない
β遮断薬血圧低下リスクは低いED・性欲低下の報告あり(頻度は議論あり)
利尿薬(サイアザイド系など)限定的EDリスクあり
スピロノラクトン限定的ED・性欲低下・女性化乳房
α遮断薬血圧急低下のリスクあり射精障害の報告あり要注意
硝酸薬絶対禁忌絶対禁忌

「降圧薬を飲んでいてEDになった」場合の対処

降圧薬の副作用でEDが出ている可能性がある場合、以下を確認してほしい。

確認・対処のステップ
  • Step 1:EDが始まった時期と降圧薬を開始した時期が重なるか確認する
  • Step 2:β遮断薬・スピロノラクトン(利尿薬)を飲んでいないか確認する
  • Step 3:担当医に「降圧薬の変更(ARBやCa拮抗薬への切り替え)を検討できるか」相談する
  • Step 4:血圧が安定していればED治療薬の処方を相談する
降圧薬を自己判断で中断してもED治療薬が使えるようになるわけではない。血圧管理は心血管リスクに直結するため、降圧薬は絶対に中断しないこと。

高血圧の人がED治療薬を使うときの5つの注意点

  • 硝酸薬を使っていないか確認する(絶対禁忌。舌下錠・貼り薬・スプレーすべて含む)
  • ②服用中の全ての降圧薬をED治療薬の処方医・薬剤師に申告する
  • ③初回は低用量から試す(低血圧症状の有無を確認)
  • ④服用後の立ちくらみ・めまいに注意する(特にα遮断薬との併用時)
  • ⑤血圧が170/100以上の場合は、まず血圧をコントロールしてから
「顔がほてる・赤くなる」はよくある副作用のひとつ・血圧上昇ではない
ED治療薬を飲んだ後に顔がほてったり赤くなったりすることがある。これはED治療薬の血管拡張作用による副作用で、多くは一時的なものだ。高血圧の人はこれを「血圧が急上昇したのでは」と不安に感じやすいが、血圧が上がっているわけではない。ただし症状が強い・続く場合は医師に相談を。
グレープフルーツジュースにも注意
Ca拮抗薬(アムロジピンなど)はグレープフルーツジュースで代謝が妨げられ、効果が強く出すぎることがある。ED治療薬(シルデナフィル・バルデナフィル)も同様の影響を受けやすい。両方を服用している人は特に注意が必要で、ED治療薬の服用前後はグレープフルーツを避けることが無難だ。なおタダラフィル(シアリス)もグレープフルーツの影響を受けるため、飲んでいる降圧薬の種類に関わらず注意しておくとよい。

まとめ

この記事のまとめ
  • 血圧が170/100未満で、禁忌薬がなく全身状態が安定していれば、基本的にED治療薬は使用できる
  • 硝酸薬(ニトロ製剤)との併用は絶対禁忌
  • Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬はED治療薬との飲み合わせで大きな問題は少ない
  • β遮断薬・スピロノラクトンは副作用としてED自体を起こすリスクがある
  • α遮断薬との併用は低血圧のリスクがあり低用量から開始が必要
  • 降圧薬の副作用でEDになっている場合は、薬の見直しで改善する可能性がある
  • 全ての服用薬を申告した上で処方を受けることが安全の基本

EDオンラインクリニック3院の比較はEDオンラインクリニック比較で、ED治療薬の詳細はED治療薬3種比較で解説している。


薬剤師から一言 「降圧薬を飲んでいるから無理だと思っていた」という人が意外に多い。高血圧とEDは合併することが多いが、ほとんどのケースでは適切な確認さえすれば治療が可能だ。ただし「薬の名前が分からないけどなんか飲んでる」という状態でオンラインクリニックに申し込むのは危険なので、お薬手帳と、できれば家庭血圧の記録(血圧手帳)を用意してから受診してほしい。降圧薬の見直しで勃起機能が改善するケースも報告されている。諦める前に一度相談を。


免責事項 本記事は医師による診断・治療の代替となるものではありません。具体的な薬の飲み合わせについては必ず処方医・薬剤師にご確認ください。


よくある質問

Q. 高血圧があってもED治療薬は使えますか?

血圧が一定の基準内(収縮期170mmHg未満かつ拡張期100mmHg未満)であれば、基本的に使用できます。ただし降圧薬との飲み合わせで血圧が過度に下がるリスクがあるため、必ず医師に相談してください。

Q. 降圧薬とED治療薬の飲み合わせで危ないものはありますか?

硝酸薬(ニトログリセリン・硝酸イソソルビドなど)は絶対禁忌で、ED治療薬と組み合わせると血圧が急激に下がる危険があります。α遮断薬との併用も低血圧のリスクがあり注意が必要です。ARB・Ca拮抗薬は比較的問題が少ないとされています。

Q. 降圧薬がEDの原因になることはありますか?

あります。β遮断薬でED・性欲低下が報告されていますが、頻度については研究によって差があります。利尿薬(特にスピロノラクトン)はED・性欲低下のリスクがより明確です。ARBやCa拮抗薬は性機能への影響が比較的少ないとされています。

Q. 血圧が高いとEDになりやすいのはなぜですか?

高血圧が続くと動脈硬化が進み、陰茎への血流が低下するためです。また降圧薬の副作用でEDが悪化するケースもあります。高血圧とEDは非常に高い頻度で合併することが報告されています。

Q. ED治療薬を飲んで血圧が下がりすぎた場合はどうすればいいですか?

立ちくらみ・めまい・動悸が出た場合はまず横になって安静にしてください。症状が強い・長く続く場合は医療機関に相談を。次回以降は用量を下げるか、降圧薬との服用タイミングをずらすことで改善するケースがあります。自己判断で変更せず医師に相談してください。

Q. 高血圧の人がED治療薬を使うときに注意すべきことは?

硝酸薬を使っていないか確認、服用中の全ての降圧薬を申告、低血圧症状(立ちくらみ・めまい)に注意、血圧が170/100以上の場合はまず血圧コントロールを優先、初回は低用量から試すこと、の5点が重要です。

Q. 市販の精力剤やサプリと一緒に飲んでも大丈夫ですか?

成分によっては血圧や脈拍に影響するものがあります。特に海外製サプリや個人輸入品は成分が不明なケースもあり、ED治療薬との併用は自己判断しないことが重要です。不安な場合は薬剤師に相談してください。

Q. 家庭血圧はどのタイミングで測ればいいですか?

一般的には起床後1時間以内・排尿後・朝食前が推奨されています。ED治療薬を使う場合も、普段の血圧傾向を把握しておくと安全性の確認に役立ちます。受診時に記録を持参すると医師の判断がスムーズになります。