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海外個人輸入のED薬は危険|偽造薬・法律・正規品との違いを薬剤師が解説

海外個人輸入のED薬は危険|偽造薬・法律・正規品との違いを薬剤師が解説

海外個人輸入のED薬は危険|偽造薬・法律・正規品との違いを薬剤師が解説

「オンラインクリニックは面倒」「もっと安く手に入れたい」——そう考えて海外からED治療薬を個人輸入しようとする人は少なくない。

だが薬剤師として断言する。個人輸入ルートのED薬は、命に関わるリスクを抱えている。

偽造薬の混入率、法律の抜け穴、副作用が出ても救済されない現実——この記事で全部まとめる。


個人輸入したED治療薬の約4割が偽造品

2016年、国内でED治療薬を販売するメーカー4社(ファイザー・バイエル薬品・日本新薬・日本イーライリリー)が合同で調査を実施した。個人輸入代行業者のサイトからバイアグラ・レビトラ・シアリスを購入し、成分鑑定を行った結果——

国内発注分の約4割(35.6%)が偽造品と判定。タイ発注分では約5割(48.0%)が偽造品だった(2016年、4社合同調査)。

2009年の前回調査では国内発注分の偽造品率は43.6%、タイ発注分は67.8%。数値は若干改善しているが、調査対象の個人輸入代行サイトでは依然として約4割が偽造品という結果が続いている。


偽造ED薬の何が危ないのか

偽造品のリスクは「効かない」だけではない。むしろ「効きすぎる」ことや「何が入っているかわからない」ことの方が深刻だ。

有効成分ゼロ〜過剰量まで、中身は不明

硝酸剤との飲み合わせで死亡リスク

ED治療薬(PDE5阻害薬)は硝酸剤(ニトログリセリン・硝酸イソソルビドなど)との併用で血圧が急激に低下し、重篤な低血圧を起こすおそれがある。併用禁忌として添付文書に明記されており、最悪の場合生命に関わる。

正規ルートでは医師が問診で必ず確認するが、個人輸入では誰もチェックしない。心疾患の既往がある人が偽造薬を自己判断で服用するのは特に危険だ。

副作用が出ても放置するしかない

日本新薬の調査によると、ネット購入者の約4割が副作用を経験し、そのうち9割が放置していた。個人輸入代行業者は薬機法上、効能・副作用・用法についてアドバイスすることが禁止されているため、困っても相談できる窓口がない。


法律上はどういう扱いになるのか

個人使用目的の個人輸入自体は違法ではない

薬機法では、自分自身で使用する目的に限り、一定数量内での個人輸入は認められており、厚生労働省も案内している。目安として処方薬系は1ヶ月分以内とされている。

ただし、個人使用目的であっても偽造薬や品質管理上のリスクは変わらない。安全性の観点から推奨されないという点は明確にしておく。

無許可販売・偽造品販売は薬機法違反

無許可で医薬品を販売する行為や、偽造医薬品の販売は薬機法違反となる。個人輸入代行サイトでは品質や流通経路を確認できないため、購入した薬が違法な偽造品である可能性を排除できない。また偽造品は「関税法」上の知的財産侵害物品に該当し、国内への持ち込み自体が禁止されている。

一部クリニックの「海外品院内処方」に潜むリスク

一部のクリニックでは、医師の責任において海外製の未承認ジェネリックを個人輸入し、院内処方しているケースがある。医師が地方厚生局から薬監証明を取得して輸入すること自体は違法ではない。

ただし、万が一重篤な副作用が発生した場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があるという点は個人輸入と同じリスクだ。処方した医師が責任を負う形になるため、費用が安くても「何かあったとき」のリスクは頭に入れておく必要がある。


副作用被害救済制度が使えない

健康被害が発生した際に医療費・障害年金等が支給される「医薬品副作用被害救済制度」(PMDA)は、国内で承認された医薬品を適正に使用した場合が対象だ。

個人輸入品・未承認品は対象外となる場合がある。副作用で入院することになっても、救済制度に頼れない可能性が高い点は認識しておいてほしい。


「安い」の真実:見えないコストが大きい

個人輸入が選ばれる最大の理由はコストだが、リスクを加味すると割安とは言い切れない。

項目正規ルート(オンラインクリニック)個人輸入代行
品質保証薬機法で管理なし
医師の確認あり(禁忌確認含む)なし
副作用時の相談先処方医・薬剤師なし
救済制度対象対象外となる場合あり
偽造品リスクほぼゼロ約4割
価格やや高め安く見える
「安い」のは本物が届いた場合の話。偽造品を高い確率で引く構造である以上、実質的なコストパフォーマンスは正規ルートに劣る可能性が高い。

正規品を入手する唯一の安全なルート

また、外箱や錠剤の見た目がきれいでも偽造品の判別は不可能に近い。精巧に再現された偽造品は正規品とほぼ区別できず、素人が目視で確認しても意味がない。

ED治療薬を安全に入手できるのは以下の経路のみだ。

  1. 泌尿器科・内科などの医療機関で診察を受け、処方箋をもとに調剤薬局で受け取る
  2. EDオンラインクリニックでオンライン診療(リアルタイムの音声・映像が必要)を受け、処方を受ける

オンラインクリニックは自宅から受診でき、処方薬が郵送で届くため、利便性は個人輸入とほぼ変わらない。価格差も縮まってきている。

国内のEDオンラインクリニック比較はこちらの記事にまとめている。費用・処方内容・使いやすさを比較しているので参考にしてほしい。

まとめ

「面倒だから」「安いから」という理由で個人輸入を選ぶのは、リスクに見合わない。オンラインクリニックの利便性は個人輸入とほぼ変わらなくなっている今、正規ルートを選ぶ理由は十分ある。


よくある質問

Q. ED治療薬の個人輸入は違法ですか?

A. 自分で使用する目的に限り、一定数量内であれば個人輸入自体は違法ではありません。個人輸入代行サイトを利用すること自体が直ちに違法となるわけではありませんが、偽造薬や品質管理上のリスクがあるため推奨されません。

Q. 海外から購入したED治療薬の何割が偽物ですか?

A. 国内ED治療薬メーカー4社の2016年合同調査では、個人輸入代行業者サイトから購入したED治療薬の約4割が偽造品と判定されました。

Q. 個人輸入した薬で健康被害が出た場合、救済制度は使えますか?

A. 使えない可能性が高いです。医薬品副作用被害救済制度は国内承認医薬品を適正に使用した場合が対象で、未承認・個人輸入品は対象外となる場合があります。

Q. 偽造ED薬にはどんな危険がありますか?

A. 有効成分がゼロのケース、過剰量が含まれるケース、未知の不純物が混入しているケースが報告されています。硝酸剤との飲み合わせで重篤な低血圧を起こすおそれがあり、最悪の場合生命に関わります。

Q. 正規品を安全に入手する方法は?

A. 国内の医療機関(泌尿器科・オンラインクリニック)で医師の診察を受け、処方箋をもとに受け取るのが唯一の安全なルートです。

Q. 個人輸入代行業者は合法ですか?

A. 無許可での医薬品販売や偽造医薬品の販売は薬機法違反です。個人輸入代行サイトは品質・流通経路を確認できないため、偽造品が混入するリスクがあります。利用には注意が必要です。


【薬剤師より】個人輸入を検討している方に伝えたいのは、「安さ」の裏にある構造的なリスクだ。2016年の合同調査では、調査対象となった個人輸入代行サイトの商品のおよそ4割が偽造品と判定された。ED治療は長期間続けるものだからこそ、正規ルートで安全に進めてほしい。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療・法律アドバイスではありません。治療については医師にご相談ください。