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ED治療薬の飲み合わせ禁忌|硝酸剤・降圧薬・アルコールまで薬剤師が解説

ED治療薬の飲み合わせ禁忌|硝酸剤・降圧薬・アルコールまで薬剤師が解説

持病の薬を飲んでいる人に向けて、ED治療薬の飲み合わせリスクを薬剤師が解説する。

特定の薬との組み合わせは重篤な血圧低下を引き起こし、命に関わるケースがある。処方を受ける前に必ず確認してほしい。

【まず確認|これを飲んでいる人は服用前に医師・薬剤師に相談】

・硝酸剤(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど)→ 全製品で禁忌 ・リオシグアト(アデムパス)→ 全製品で禁忌 ・一部の抗HIV薬(リトナビルなどの強力なCYP3A4阻害薬)→ シルデナフィル・バルデナフィルで禁忌 ・α遮断薬(タムスロシン、ドキサゾシンなど)→ 慎重投与(血圧急低下のリスク) ・抗真菌薬(イトラコナゾールなど)→ 血中濃度が著しく上昇するリスク

作用と飲み合わせの関係

バイアグラ・シアリス・バルデナフィルはいずれもPDE5(ホスホジエステラーゼ5型)阻害薬だ。

性的刺激をきっかけに陰茎の血管内で一酸化窒素(NO)が放出され、NOがcGMP(環状グアノシン一リン酸)を増やして血管を拡張させることで勃起が起こる。PDE5はこのcGMPを分解する酵素で、ED治療薬はPDE5を阻害してcGMPを維持し、勃起を助ける

この「血管を広げる」作用が、同じく血管を拡張させる薬と重なると血圧が過度に低下し、意識消失・心停止につながるリスクがある


【絶対禁忌①】硝酸剤との併用

硝酸剤とED治療薬の併用は、全製品において添付文書上の「禁忌」に指定されている。「注意が必要」ではなく「使ってはいけない」という最も厳しい区分だ。

硝酸剤とは

狭心症・心筋梗塞後の治療に使われる薬のグループで、NOを直接放出して血管を拡張させ、心臓の負担を下げる。

一般名代表的な商品名剤形
ニトログリセリンニトロペン、ミオコールスプレー舌下錠・スプレー
硝酸イソソルビドフランドルテープ、アイトロールテープ・錠
一硝酸イソソルビドアイスモン
ニコランジルシグマート

ニコランジル(シグマート)は硝酸基を持ちNO作用を示すため、各ED治療薬の添付文書上でも「硝酸剤等」として同じ禁忌の扱いとされている。

なぜ危険なのか

【危険なメカニズムの流れ】
  1. 硝酸剤:NOを直接放出し、cGMPを大量に増やして血管を広げる
  2. ED治療薬:cGMPを分解するPDE5を阻害し、cGMPの消費をストップする
  3. 結果:cGMPが体内で過剰に蓄積し、全身の血管が過度に拡張する
  4. 重度の血圧低下が報告されており、意識消失・心停止につながるリスクがある

服用後はどのくらい硝酸剤が使えないのか

ED治療薬を服用した後に狭心症発作が起きても、硝酸剤を使える状態ではなくなる。

薬剤の半減期を参考にすると、シルデナフィルは服用後約24時間、タダラフィルは約36〜48時間が目安とされているが、患者背景や用量によって異なるため、具体的な対応は必ず主治医に確認してほしい。

狭心症の既往がある人は、ED治療薬を使う前に必ず循環器内科医に相談すること。


【絶対禁忌②】リオシグアト(アデムパス)

リオシグアト(商品名:アデムパス)は肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療薬で、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を直接刺激してcGMPを増やす。

ED治療薬との組み合わせで同様に過度の血圧低下が起きるため、全製品において添付文書上の禁忌に指定されている。肺高血圧症で治療中の人は必ず主治医に確認してほしい。


【要注意】α遮断薬との併用

α遮断薬は禁忌ではないが、組み合わせによって起立性低血圧(立ちくらみ・失神)のリスクが高まる。

主に前立腺肥大症・高血圧の治療に使われる。代表的な薬剤は以下の通りだ。

一般名商品名主な用途
タムスロシンハルナールD前立腺肥大
シロドシンユリーフ前立腺肥大
ドキサゾシンカルデナリン高血圧・前立腺肥大
テラゾシンハイトラシン高血圧・前立腺肥大

α遮断薬自体が血管を広げる作用を持つため、ED治療薬と重なると立ち上がったときに血圧が急激に下がって失神するリスクがある。

特にバルデナフィルとドキサゾシンの組み合わせは、添付文書上は「併用注意」の区分だが、他のα遮断薬との組み合わせに比べて血圧低下が起きやすいことが試験で示されており、実務上は原則として避けるべき組み合わせとされている

前立腺肥大の薬を飲んでいる人は、ED治療薬を処方してもらう際に必ず申告すること。


【要注意】降圧薬との併用

「高血圧だからED治療薬が使えない」というわけではない。

カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)・ACE阻害薬・ARBとの組み合わせでは、臨床上大きな問題が生じにくいことが示されている。問題になりやすいのは主にα遮断薬を兼ねた降圧薬(ドキサゾシンなど)だ。

高血圧でED治療薬を使いたい場合の詳しい解説は「高血圧患者のED治療薬の選び方」を参照してほしい。


【要注意】CYP3A4阻害薬との併用

ED治療薬は主にCYP3A4(肝臓の代謝酵素)によって分解される。この酵素を強く阻害する薬を飲んでいると、ED治療薬の血中濃度が上昇して副作用が強く出るリスクがある。

代表的なCYP3A4強阻害薬は以下の通りだ。

薬の種類代表的な薬剤
一部の抗HIV薬リトナビル、インジナビル
抗真菌薬イトラコナゾール(イトリゾール)、ミコナゾール
抗菌薬クラリスロマイシン(クラリス)

リトナビルはシルデナフィルおよびバルデナフィルの添付文書上で正式な「禁忌」に指定されている。タダラフィルとの組み合わせは「併用注意(減量を考慮)」の扱いで、薬剤によって対応が異なる。

リトナビルとシルデナフィルの同時服用ではシルデナフィルのAUCが約11倍に上昇したという報告がある。一部の抗HIV薬で治療中の人はED治療薬の使用について必ず主治医・薬剤師に相談してほしい。


アルコールとの併用について

各ED治療薬の添付文書に記載されたアルコール相互作用試験の結果を整理する。

ED治療薬試験条件主な結果
シルデナフィルアルコール0.5g/kg血圧低下の有意な加算なし
タダラフィルアルコール0.7g/kg立位収縮期血圧が一部で低下
バルデナフィルアルコール0.5g/kg血圧・心拍数への影響は軽度

少量であれば重大な問題は起きにくいが、大量飲酒はアルコール自体の血管拡張作用がED治療薬と重なり、頭痛・めまい・ふらつきが起きやすくなる。大量のアルコールは性機能そのものにも悪影響を与えるため、過度な飲酒は避けることが推奨される。

個人差があるため一律には言えないが、少量(目安として缶ビール1本程度まで)にとどめることが望ましい。


グレープフルーツとの相互作用

グレープフルーツ(・ジュース)にはフラノクマリン類というCYP3A4を阻害する成分が含まれている。ED治療薬と同じタイミングで摂取すると血中濃度が上昇し、副作用が通常より強く出る可能性がある。服用当日はグレープフルーツの摂取を控えるのが無難だ。

なお、ED治療薬は水またはぬるま湯で服用するのが基本だ。


個人輸入のED薬は飲み合わせの管理が困難

飲み合わせの観点からも、個人輸入やネット通販で入手したED薬には注意が必要だ。

海外から取り寄せた製品の中には、有効成分の含有量が表記と異なるもの・不純物が混入したもの・複数の成分が無断で配合されたものが存在することが報告されている。成分が不明な製品では飲み合わせの予測が困難になる。

オンラインクリニックで処方される製品は国内の正規品であり、問診で他の薬との飲み合わせを確認したうえで処方される。安全性の面でも正規のルートで入手することが推奨される。

薬剤別の主な禁忌・注意事項まとめ

組み合わせる薬・食品シルデナフィルタダラフィルバルデナフィル
硝酸剤(ニトログリセリン等)✗禁忌✗禁忌✗禁忌
ニコランジル(シグマート)✗禁忌✗禁忌✗禁忌
リオシグアト(アデムパス)✗禁忌✗禁忌✗禁忌
リトナビル等CYP3A4強阻害薬✗禁忌△慎重(減量)✗禁忌
ドキサゾシン等α遮断薬△慎重△慎重△特に慎重
カルシウム拮抗薬・ARB◎比較的安全◎比較的安全◎比較的安全
アルコール(少量)◎概ね問題なし◎概ね問題なし◎概ね問題なし
アルコール(大量)△避けること△避けること△避けること
グレープフルーツ△避けること△避けること△避けること

✗は添付文書上の禁忌・△は慎重投与・◎は比較的安全。服用中の薬は必ず医師・薬剤師に申告すること


服用後にこんな症状が出たら受診

以下の症状が服用後に現れた場合は早急に医療機関を受診してほしい。

・強い胸痛・胸部圧迫感 ・めまい・失神 ・4時間以上続く勃起(持続勃起症) ・視覚異常(青みがかって見える・視野が欠ける)

持続勃起症は放置すると回復不能な損傷につながる可能性がある。様子を見ることは避けてほしい。

各薬に特有の副作用(頭痛・ほてり・鼻づまりなど)の詳細は「ED治療薬3種類比較」で薬剤別にまとめている。


飲み合わせが不安なときの確認方法

オンラインクリニックで処方してもらう場合も、問診票に「現在飲んでいる薬」を正確に申告することが重要だ。

処方薬だけでなくOTC薬・漢方薬・サプリメントも含めてすべて記載することが推奨される。特に狭心症・高血圧・前立腺肥大・HIV・真菌感染症の治療中の人は必ず申告してほしい。

かかりつけの薬剤師がいる場合は、お薬手帳を持参して確認してもらうのが確実だ。オンラインクリニックの選び方は「EDオンラインクリニック比較」を参照してほしい。


【この記事の要点】

・硝酸剤(ニトログリセリン・硝酸イソソルビド・ニコランジルなど)とED治療薬の併用は全製品で禁忌 ・リオシグアト(アデムパス)も同様に全製品で禁忌 ・リトナビルなど一部の抗HIV薬はシルデナフィル・バルデナフィルで禁忌 ・α遮断薬は禁忌ではないが、起立性低血圧に注意が必要 ・アルコールは少量にとどめ、グレープフルーツは服用当日に避けること ・服用中の薬はオンライン問診票にもすべて正確に記載すること


よくある質問

Q. ED治療薬と絶対に一緒に飲んではいけない薬は?

硝酸剤(ニトログリセリン・硝酸イソソルビドなど)とリオシグアト(アデムパス)は絶対禁忌だ。過度の血圧低下により意識消失・心停止を引き起こす可能性があり、命に関わる。

Q. 狭心症の薬を飲んでいるが、ED治療薬は使えるか?

硝酸剤を服用中の場合、ED治療薬との併用は禁忌だ。硝酸剤以外の狭心症治療薬に切り替えられるケースもあるため、主治医に相談してほしい。

Q. ED治療薬とアルコールは一緒に飲んでいいか?

少量であれば重大な問題は起きにくいが、個人差があるため過度の飲酒は避けることが推奨される。大量飲酒との併用は頭痛・めまいのリスクを高める。

Q. 高血圧の薬を飲んでいるが、ED治療薬は使えるか?

α遮断薬(ドキサゾシンなど)との併用は血圧が過度に下がるリスクがある。カルシウム拮抗薬・ARBとの組み合わせは比較的安全とされているが、主治医・薬剤師に確認してほしい。

Q. 前立腺肥大の薬(タムスロシン)とED治療薬は一緒に飲めるか?

α遮断薬との併用で起立性低血圧のリスクが高まる。禁忌ではないが、ED治療薬の用量を最低量から始めるなどの注意が必要だ。主治医に申告してほしい。

Q. 服用後に勃起が4時間以上続く場合はどうすればいいか?

持続勃起症の可能性があるため、早急に医療機関を受診してほしい。放置すると回復不能な損傷につながる可能性がある。胸痛・失神・視覚異常が出た場合も同様だ。