「薄毛が気になり始めたけど、いきなりクリニックはちょっと…」
そう感じている人は多い。費用もかかるし、予約して行くのも面倒だし、そもそも自分のレベルで病院に行くほどなのか、まだわからない。
その気持ちはよくわかる。まず自分でできることをやってみる、それは合理的な判断だ。
薬剤師として18年、添付文書と論文データをもとに正直に答える。
- 市販の発毛剤リアップの全種類の違いと選び方
- どれを選べばいいかの判断基準
- 市販薬で効果が出なかった場合の「クリニックに切り替えるべきタイミング」
これから始めるならリアップX5チャージで問題ない。ただし市販薬(外用薬)には限界があり、6ヶ月試して効果が出なければクリニックへの切り替えを検討すること。市販薬で土台を作り、必要ならクリニックへ進む——この順番は合理的だ。
そもそも「育毛剤」と「発毛剤」は別物
ドラッグストアには「育毛」「発毛」「抜け毛予防」と書かれた商品が並んでいるが、薬機法上の分類が全く異なる。
| 分類 | 代表例 | 効能 |
|---|---|---|
| 医薬部外品(育毛剤) | 多くのシャンプー・トニック | 頭皮ケア・抜け毛予防のサポート |
| 第1類医薬品(発毛剤) | リアップシリーズ | 発毛効果が承認されている |
リアップは「壮年性脱毛症における発毛、育毛および脱毛の進行予防」の効能が国から承認された第1類医薬品だ。「育毛剤」と同じ棚に並んでいても、効能の根拠がまったく違う。
2025年7月時点で、日本の一般用医薬品(市販薬)において発毛効果が認められている成分はミノキシジルのみだ。リアップシリーズはそのミノキシジルを配合した製品の中で、最も知名度が高いブランドの一つだ。
リアップ全種類比較表
現行で入手できる主要製品を整理する。
| 製品 | ミノキシジル濃度 | 有効成分 | 購入方法 | 価格目安(月) | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|---|
| リアップX5チャージ | 5% | 計8成分(ミノキ+サポート7種) | 薬局・通販 | 約8,000円 | 迷ったらこれ |
| リアップX5プラスネオ | 5% | 計8成分(旧処方) | 通販限定 | 約7,500〜8,000円 | 在庫あるうちの選択肢 |
| リアップX5 | 5% | ミノキシジルのみ | 薬局・通販 | 約6,000〜6,500円 | コスパ重視 |
| リアッププラス | 1% | 計4成分 | 薬局・通販 | 約5,500円 | 低刺激重視 |
| リアップリジェンヌ | 1% | 計4成分 | 薬局・通販 | 約5,000円 | 女性の薄毛 |
各製品の詳細
リアップX5チャージ——現行最上位・最新モデル
2024年に発売されたリアップシリーズの現在の最上位製品だ。
有効成分(8種類)
- ミノキシジル5%(発毛の主役)
- 抜け毛予防サポート成分6種:ヒノキチオール・グリチルレチン酸・l-メントール・ジフェンヒドラミン塩酸塩・ピリドキシン塩酸塩・トコフェロール酢酸エステル
- 育毛サポート成分:パンテノール(チャージで新配合)
プラスネオからの主な改良点は、パンテノール(頭皮と毛細胞への栄養補給)の追加と低刺激化だ。メントールの刺激が気になっていた人や敏感肌の人にも使いやすくなっている。
リアップX5プラスネオ——通販限定・在庫あるうちは選択肢
X5チャージの前身モデル。現在は通販限定パッケージでのみ販売されており、いずれ終了する可能性が高い。
チャージとの発毛効果の違いはない(ミノキシジル5%は同じ)。メントールのスーッとした清涼感が好きな人にはこちらの方が好みの場合もある。在庫が確認できる間は選択肢として有効だ。
▶ リアップX5プラスネオ 通販限定パッケージ 60mL(Amazon)
通販限定パッケージのみで販売されており、薬局では手に入らない。今後販売終了となる可能性があるため、これから長期的に使い続けることを考えるなら、最新のX5チャージを選んでおく方が安心だ。
リアップX5——シンプル処方・コスパ重視の選択肢
ミノキシジル5%のみに絞ったシンプルな処方。月1,500〜2,000円ほど安く使えるため、「とにかくミノキシジル5%が入っていればいい」というコスト重視の人向けだ。
発毛の主役はミノキシジルであることに変わりはないため、サポート成分の違いで効果が大きく変わる可能性は低いと考えられる。
リアッププラス(1%)——AGAには力不足
ミノキシジル1%配合の製品で、5%製品より低刺激だが発毛効果も弱い。薄毛の予防目的や、5%で頭皮トラブルが出た場合の代替としての使用が主な用途だ。
AGAの治療目的であれば5%製品を選ぶべきだ。日本皮膚科学会のガイドラインでも、ミノキシジルは5%製剤が基本とされている。なおリアップシリーズは現在5%製品へのラインナップ集約が進んでおり、1%製品は入手しにくくなりつつある。
どれを選べばいいか
- これから始める・最大限のケアをしたい→ リアップX5チャージ
- コストを抑えたい・シンプルでいい→ リアップX5
- X5プラスネオを使っていて切り替えを検討中→ X5チャージへ移行推奨
- 5%で頭皮が荒れた経験がある→ まず皮膚科に相談してから判断
正しい使い方と効果が出るまでの期間
使用方法
- 1日2回、頭皮が完全に乾いた状態で使用
- 1回1mL(付属のリアップデバイスで計量)を薄毛が気になる部位に塗布
- 塗布後は自然乾燥させ、すぐに洗髪しない
効果が出るまでの期間
| 時期 | 起こること |
|---|---|
| 1〜2ヶ月 | 初期脱毛が起こる場合がある(正常なプロセス) |
| 3〜4ヶ月 | 産毛が生え始める人も出てくる |
| 6ヶ月 | 効果の評価タイミング。発毛・育毛の変化を確認 |
| 6ヶ月以降 | 効果が出た場合は継続。出なければ別の選択肢を検討 |
使い始めて1〜2ヶ月ごろに一時的に抜け毛が増えることがある。これは毛周期がリセットされる正常なプロセスで、AGAが悪化しているサインではない。多くの場合2〜3ヶ月で落ち着くため、ここで中止しないことが重要だ。
なぜ6ヶ月かかるのか
髪の毛には「成長期→退行期→休止期」というヘアサイクルがある。ミノキシジルが毛根に作用してから、実際に目に見える太さの毛が生えてくるまでには、このサイクルの関係で最低4〜6ヶ月かかる。「1〜2ヶ月で変化がない」は当然で、判断するには早すぎる。
副作用について
リアップ(外用ミノキシジル)でよく見られる副作用は頭皮のかゆみ・発赤・接触皮膚炎だ。まれに動悸・血圧低下が起こることもある。頭皮に異常を感じたら使用を中止し、薬剤師または医師に相談すること。
リアップ(ミノキシジル外用)は使用している間だけ効果を発揮する。中止すると3〜6ヶ月程度で効果が薄れ、発毛していた部分も徐々に元の状態に戻っていく。さらにAGA自体は進行し続けるため、中止後は治療前より薄毛が進んでいることになる。効果が出た場合は継続使用が前提だ。
使用できない人・注意が必要な人
リアップ(ミノキシジル5%)を使用してはいけない、または注意が必要なケースを確認しておく。
- 未成年(20歳未満):適応外
- 女性:男性用5%製品は使用不可。女性向けは1%製品(リジェンヌ)を使用すること
- 円形脱毛症など、AGA以外の脱毛症:リアップはAGA(壮年性脱毛症)専用。別の原因による脱毛には効果がなく、まず皮膚科で診断を受けること
- 心臓病・高血圧などの治療中:使用前に医師または薬剤師に相談すること
- 頭皮に炎症・湿疹がある場合:まず皮膚科で治療してから使用すること
「効きやすい部位」と「効きにくい部位」がある
リアップ(外用ミノキシジル)は、すべての部位に均等に効くわけではない。
- 頭頂部(つむじ周辺):効果が出やすい
- 生え際・M字部分:血管が少なく薬液が届きにくいため効果が出にくい
生え際の後退が主な悩みの場合、リアップだけでは効果が出にくく、クリニックでの処方薬(内服薬)の方が適しているケースが多い。
リアップには部位ごとの得意・不得意があり、さらに治療全体としても限界がある。
ここが最も重要なポイントだ。リアップは優れた発毛剤だが、できないことがある。
| リアップ(外用・市販) | クリニック処方薬 | |
|---|---|---|
| 発毛を促す(攻め) | ✅ できる | ✅ できる |
| 抜け毛の進行を止める(守り) | △ 限定的 | ✅ フィナステリド・デュタステリドで対応 |
| 高濃度ミノキシジル | ❌ 5%まで | ✅ それ以上も処方可能 |
| 内服ミノキシジル | ❌ | ✅ 処方可能(適応外) |
AGAの根本原因はDHT(ジヒドロテストステロン)による毛根へのダメージだ。リアップはDHTを抑える機能を持たないため、進行中のAGAに対しては「発毛は促せても、進行は止められない」という限界がある。
クリニックでは、リアップにはない**フィナステリド(プロペシア等)やデュタステリド(ザガーロ等)**という「抜け毛を止める飲み薬」が処方される。これらは市販されておらず、医師の診察が必要だ。
クリニックに切り替えるべき判断基準
「いつまで市販薬で続けていいのか」の目安を整理する。
以下に1つでも当てはまるなら、次のリアップを買い足す前にクリニックへの相談を検討してほしい。
- 6ヶ月使ったが抜け毛のペースが変わらない
- 生え際(M字・前頭部)が明らかに後退してきた
- 親族に薄毛が多く、進行スピードが早いと感じる
- 抜け毛量が急に増えた
- 頭皮に赤みやフケが多い(まず皮膚科へ)
- 「毎日塗るのが面倒になってきた」→内服薬の方が続けやすいかもしれない
なお最近はスマホ1つで完結するオンライン診療も主流になっており、「クリニックに行く」ハードルは以前より大幅に下がっている。自宅から医師に相談して処方薬を自宅で受け取れる。
ただし「クリニック=負け」ではない。リアップ(外用)で発毛を促しながら、クリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリド(抜け毛を止める内服薬)を加えることで、攻め(発毛)と守り(抜け毛抑制)の両立ができる。リアップを続けながらクリニックに行くという選択肢もある。
- まずリアップX5チャージで4〜6ヶ月試す
- 産毛が生えてきたら継続。効果が出ている証拠だ
- 6ヶ月で変化がなければ、クリニックへの切り替えを検討
- 生え際の後退・急激な進行がある場合は、市販薬を待たずクリニックへ
- クリニックでも外用ミノキシジルは継続できる(組み合わせてOK)
まとめ
- 市販薬でAGAに効果があるのはミノキシジル(第1類医薬品)のみ。育毛剤とは別物
- これから始めるならリアップX5チャージ(現行最上位・8成分配合)がベスト
- X5プラスネオは通販限定でまだ買えるが、長期的にはチャージへの移行が安心
- 効果の評価は最低6ヶ月。初期脱毛が出ても続けることが重要
- 市販薬は「発毛」には強いが「抜け毛の進行抑制」には限界がある
- 6ヶ月試して効果が出ない・急激に進行している場合はクリニックへ切り替えを検討
どのクリニックを選ぶか迷っている場合は、こちらの比較記事も参考にしてほしい。
参考文献・データ出典
- リアップX5チャージ 添付文書・製品情報(大正製薬)
- リアップX5プラスネオ 添付文書(大正製薬)
- 日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版